小話:ドイツ年間ゲーム大賞紹介・後編

3回に分けてお送りしてきた紹介も今回でラスト。
2000年以降の作品を扱っていきます。
なお、これ以降は全部プレイ済みなのできちんと紹介できるかと思います。


2000 トーレス
王城をいかに復興させるかというある意味平和な後継者争いゲーム。


ティカルの所でも少し触れてましたがこれもアクションポイント(AP)を使ったゲームです。
ティカルよりは選択肢は減ったもののアクションカードの要素が加わっている為、やはり
一筋縄ではいかない難易度になっています。


塔が段々と積み上がっていくのは壮観ですが、ゲームの方は色々と考えることが多く
胃がキリキリとなるくらい考えるゲームですねー。面白いけど。



2001 カルカソンヌ
90年代〜トーレスまで難易度が高めのゲームが続いてきましたが、このカルカソンヌ以降は
比較的説明に困らない難易度の作品が続いていきます。


実際21世紀に入って年間ゲーム大賞は「家族でも遊べるゲーム」という方向にシフトしている
傾向にあって、家族向けとして難易度が高いゲームは去年のドミニオン位ではないでしょうか?


さて、カルカソンヌに関しての話に戻りますがコンポーネントの街の出来ていく感や適度な大きさも去ることながら、
ルールも草原の部分を除けば特に難しすぎることもないのでこれも薦めやすいゲームになります。
(草原の部分が難しいと感じる場合でも、草原ルールを除いて十分遊べるのが○)
日本各地のゲーム会でもすっかり定番ゲームの1つだと思います。


なお、かなりの拡張が出ているようですが多すぎて流石に全部は網羅しきれない感じです。



2002 ヴィラ・パレッティ
建築物の下の土台を取っては上の段に積み上げて建設していくという奇妙なバランスゲーム。


バランスゲームとしてはやはりというか唯一の大賞作品になりますね。
上の段に積み上げるのに土台となる棒を抜いてまた上に上げていくのですが
あまり残しすぎてもダメなルールになっているため、その見極め時が非常に難しいです。


余談ですが、この年ドイツゲーム賞はあのプエルトリコ。このチョイスを見ても
年間ゲーム大賞とドイツゲーム賞の方向性が違ってきている事が分かりやすい年だと感じました。



2003 アルハンブラ
4つの通貨を駆使して宮殿を完成していく箱庭型ゲーム。


お金を取って、タイルを取って、タイルを置く。というシンプルな流れのゲームで
かつ適度に運も絡んでくるといった点で誰にでも薦めやすいゲームです。


6人までプレイできる点もゲーム会とかで遊ぶには重宝する点でしょうね。
拡張の中でアルハンブラダイスは評判良いので遊んでみたい。



2004 乗車券 (チケットトゥライド)
アメリカで路線を伝って鉄道旅行、がテーマ。


こちらも手番にやれることは3種類(カードを1or2枚取る、路線を作る、目的地カードを引く)
なのでルールは非常にシンプルで初心者でもすぐプレイできるゲームですね。


単純なので好みは分かれるかもしれませんが、適度に運が必要なタイプなので
ワイワイ言いながら楽しむには向いている手軽なゲームだと思います。


乗車券ヨーロッパなどマップが別のバージョンやカードやダイスなどの拡張が存在。



2005 ナイアガラ
ナイアガラの河口付近で命がけの宝石集めをする同時アクション型ゲーム。


とにかくこのゲームは一番の注目点はコンポーネントでしょう。
箱を使ってナイアガラの滝部分が出来たり、カヌーや宝石なども雰囲気が出ていて良いです。


ゲーム自体は毎ターンカードを1枚出すだけなのでそこまで難しくはないのですが、
カヌーの動かし方に制約があったり家族向けにしてはやや煩雑なルールがある点だけ気になります。

一番盛り上がるのは毎ターンの川の流れが起きるところでしょうね。


こちらも拡張が存在している模様。(日本では流通してない?)



2006 郵便馬車
中世・ドイツ近辺のマップを使った郵便配達網作成がテーマになっています。


街と街とを繋げていくのですが、毎回必ず1つの街を繋げないといけないのと
一筆書きを書くように配達網を敷かなければならないのでそれなりに計画性が必要となります。


ここで紹介した中では比較的戦略性が高めですが、難易度としてはトーレスドミニオン程難しくないので
何個か他のゲームをやった後位にプレイすればすんなり入れるレベルではないでしょうか。


このゲームも拡張が複数存在するようです。



2007 ズーロレット
名作「コロレット」をボードゲーム化した作品


コロレットと同様、基本は自分の手番で出来るのは「タイルを引く」か「動物が乗ったトラックを引き取る」の
たった2つの選択肢だけ。ですが、これが面白い。


コロレットと違い色違いのカメレオンではなく動物に変わってるのでよりファミリー向け度が上がっている感じですね。
後コインを使った特殊能力があったり、動物の交換ができたり、得点の数え方がやや違うのである意味コロレットの進化系と言ったほうが良いかも。
とはいえ、難易度は比較的易しめでかつ遊んでいる感があるのでなかなかに良い感じだと思います。


拡張が何個かと、組み合わせて遊べる「水族館」がテーマのアクアレットがありますね。



2008 ケルト
ベースは作者本人の作品、二人用対戦ゲームの「ロストシティ」


5色のカードを使ってそれぞれの道を進んでいくのですが、ある程度進まないと
マイナス点になってしまうので気軽には全部の道を進めません。


やることはカードを条件に合わせて(昇順or降順)出していくか、カードを捨てるかの2択。
アイテムタイルを取ったりはしますがこれも比較的シンプルなシステムなので
初心者からでも始められる点が評価できるのではないでしょうか。


拡張ボードもありますが、ケルトタイルとケルトカードという別ゲームがあります。ケルトカードはオススメ。



2009 ドミニオン
史上初トリプルクラウン(年間大賞・ドイツゲーム賞・アラカルトカードゲーム賞)受賞ゲーム。


去年のボード&カードゲーム界を席捲していたといっても過言ではない作品になりましたね。
性質上好みはかなり分かれてしまうゲームではあるかと思いますが個人的にはかなり好きなゲームです。


現在拡張も陰謀・海辺と出てきて、更に春〜夏予定でalchemy(錬金術)が発表になっています。
(既に海外では出た模様、日本語版もそろそろ?)


惜しむらくは、ルールの例外処理などが多く、諸手を振って誰にでもオススメできる訳ではない所ですね。
このブログでも何度かに渡り記事を組んではいますが、繰り返しプレイを前提とする特殊なゲーム性の為、
やはり初心者がいきなりやるにはやや厳しいと言わざるを得ない難易度だとは思います。
(それでも、経験者が近くにいればルール面などフォロー出来る(してもらえる)かと)




全部プレイ済みなのはひとえに、2000年以降の作品は現在も流通に全て乗っている点にあるんでしょうね。
正直大賞のゲームの手に入れやすさは2000年以前のゲームか2000年以降の物かでかなり変わってくるかと思います。


2000年以降のゲームの特徴としては、カルカソンヌの所でも書きましたが、一部(トーレスドミニオン)を除いて
初心者からでも比較的遊びやすい難易度の範疇に入っていることでしょうか。
どちらかというと戦略性が必要以上に要る(ゲーマーズ)ゲームは減ってきて適度に運が絡んでくるゲームが増えている印象ですね。


後、個人的に気になったのは拡張があるゲームがかなり増えてきていることでしょうか。


2000年以前だと目立っていたのはカタンとエルグランデ位ですが、21世紀に入ってカルカソンヌ以降
実際に拡張がないのは拡張が難しいと思われるバランスゲームのヴィラパレッティだけのようで。
この辺は大賞を取ったゲームならではの特権なのかもしれませんが。


さて、どちらかというと(初心者向けかどうかの)難易度を軸にして年間ボードゲーム大賞を振り返ってみました。
もっと詳しい情報は他のホームページとかにも載っていると思いますので参考にした方が良いかと思います。


取りあえず、”難易度が高い”と書いてあるゲーム以外はあまりゲーム慣れしていなくてもプレイ出来るものが
多いですし気になるものがあればチャレンジしてみるのが良いかと思います。


P.S.現在の筆者の大賞ゲームプレイ率 25/31
(ティカルを先日プレイしたので+1)